環境が子供を育てる 最低基準の学習指導要領と発展的学習

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最低基準の学習指導要領と発展的学習

学習指導要領の最低基準

 

新学習指導要領において最低基準に関連する条項は内容等の取り扱いに関する共通的事項中の内容に関する事項は、特に示す場合場合を除き、いずれの学校においても取り扱わなければならない。学校において特に必要がある場合には、第2章以下に示していない内容を加えて指導することもできるが、その場合には、目標や内容の趣旨を逸脱したり、児童の負担歌集となったりすることのないようにしなければならないという観念であり、その内容は旧学習指導要領とほぼ同一である。強いて言えば、アンダーラインな部分が条項ではも差し支えないとなっている程度であるが、これは内容上の変更とはみなしがたい。また、しばしばクローズアップされる新しい学力観にしても、それ自体決して新しいものではなく、旧学習指導要領の延長上にある、と考えてよい。


にもかかわらず、今回最低基準や新しい学力観が改めて問題になってきたのはなぜか。その背景としては学力低下論争の激化が考えられる。今回の学力低下論争は当初、大学生の学力低下が論争を呼び、さらに高・中・小とする通常とは逆の流れで活力低下論拡大していった学習内容の3割削減については告示時点からすでに批判の声ももうかったが、こうした動きに対して、文部科学省を学習指導要領は最低基準であるというミニマム論を主張するようになった。

それまではマキシマムの基準とされ、その範囲を超えて教えることができなかった教科書の内容がミニマムの基準となった、ということは、学習指導要領という統一のテキストに対する行政側の解釈が変化した、ということを意味する。つまり条項の前半を最低基準、後半を発展的学習と解釈することで、文部科学省は倫理的整合性を求め落としたのである。

学びのすすめと発展的学習

発展的な学習で、一人ひとりの個性等にも応じての子供の力をより伸ばすのであり、学習指導要領は最低基準であること、さらには、進んでいる子供は、発展的な学習で力をより伸ばすべきことは明記された。しかし、発展的学習に直接関連する文言は中、高等学校いては、選択学習の幅を拡大し、一人一人の個性や能力、進路希望党に応じた学習が大幅にできるようにしましたという1か所のみである。

そこで文部科学省は、各種文書、ホームページとを通じて改善の基本的視点の合意形成に努めてきた。と例えば選択学習の幅の拡大とは、中学校においては選択教科に充てる授業時間の拡大、補充的な学習や学習指導要領に示す内容の理解を深めるなどの発見的な学習、並びに課題学習を意味すること、また高等学校においては、必須項目の最低合計単位数の縮減を呼び、学校独自の教科、科目を、設定できるようにする、さらには大学で学んだ成果を高等学校の単位として認めるなどの方策を指している、といった説明がされている。合わせてその具体化のために、少人数指導や習熟度別指導を可能にするなどの教職員定数の改善、発展的学習推進のための教師用参考資料の作成、配布が掲げられた。

教科書検定と最低基準

学力低下論争も成果を踏まえ、小中学校では教科書全体の1割、高校では2割を上限として発展的な内容を盛り込むことができるように、検定基準の改正されることになった。

  • 学習指導要領の目標、内容の趣旨を逸脱するものでないこと
  • 児童生徒の心身の発展段階に適応しており、負担過重とならないものであること
  • 主となる学習内容との適切な関連を有するものであること

として各項目に補足説明が付け加えられ、さらにその内容も本文以外の資料など、囲み記事など、に限定して本文以外での記述とし、この記述と明確に区別すること、発展的な内容であることを教科書上に明示することとの条件付きである。さらに発展的な学習内容等の内容は全員必修の必要はないととの観点から、入学者選抜にあたって指導要領の範囲内からの出題が明記された。

これとは別に文部科学省は確かな学力を向上させる総合施策として、個に応じた指導の充実、学ぶ意欲と迫力の質向上、特定分野で卓越した人材育成、外部人材の有効活用を打ち出し、発展的な学習を主導するための教師用資料集を公表しており、来年度予算の概算要求に盛り込んだ事業内容と合わせて、今後の動向が注目される。