環境が子供を育てる 個性を生かす教育の充実

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個性を生かす教育の充実

個性重視の原則は、臨時教育審議会以来わが国教育改革のもっとも重要な基本原則とされ、その中心的課題の一つとなっている。この原則は、もともと近代教育の基本理念とされるものでけっして事新しいものではない。わが国の教育現場でもこの理念に基づく実践は、すでに戦前からさまざまの教育個別化の形態や方法が試みられ、探求されてきた。にもかかわらず臨教審がこの原則を改めて教育改革においてもっとも重要なこととし、個性重視の原則に照らし、教育内容、方法、制度、政策など教育の全分野について抜本的に見直していかねばならないと強調したのは、それほどにこれまでの我が国の教育は、画一性、硬直性、閉鎖性といった根深い病気におかされ、個性を無視ないし軽視してきたのである。個性重視の教育を推進するためには、教育制度の改革から教室における指導方法の改善に至るまでたしかになすべきことは山とある。その中で、臨教審答申以来、個性を生かす教育の名のもとで実際に強化されてきた方策というのは、一口に言って平等主義教育の否定、教育の多様化、選択の機会の拡大の路線といってよいだろう。


教育課程審議会答申では、個性を生かす教育の一層の充実策として、総合的な学習の時間の創設、選択幅の拡大を中心に各学校の創意を生かした体験的な学習や問題解決的な学習の充実を図ることを求めるとともに、高等学校においては、生徒による選択を基本とするとのべられている。

個性重視の教育が本来目指すもの

これらの答申や施策からは、個性を生かす教育のもっとも重要な、ほとんど唯一の方策というのは、選択性の拡大であるかのようにとれるが、個性重視の原則そのように狭く考えるのは間違っていよう。戦前から我が国の教育現場では個別的接近な学習の個性化が多様な形態をとって実践されてきたが、現在では個別化、個性化を特に前面に出して謡うものオープンスクール、コンピューター支援教育などの個別学習から、それを表看板にはしないものの実質的に個性重視をめざす実践、カルテ、座席表を使った実践、グループ学習、学び方学習、生活の教育などまで含めると実に多種多様な実践が行われている。この多様性は、まさに多様な個性を持った生きた人間を対象とする教育活動の本質に由来するものである。個性重視の教育がもし他の一つの形態に固執するとしたら、個性そのものの多様性を否定する自己矛盾に陥ることになるだろう。

実践の形態とともに、学習の個性化が目指すものにも多様性がある。一人ひとりの子どもの個性を大切にするといっても、その個性のどの側面をどのように大切にするのか、実践のめざす具体的目標を、あるいは重点の置き所はさまざまにことなりうる。それを仮に大きく分けてみれば、事項のように分類できると思が、子供自身の多様性、教育の内容や方法の多様性に応じて、個性重視といってもその目標はなおいくらでも多様でありうるのである。

また個性化は目的的概念、個別化は方法的概念として区別する考えがあるが、この場合は、個性化教育にもさまざまの方法があり得るのに、個別学習の方法しかないかのような誤解を招きかねない。個性重視の教育を個別学習に限定して考え、さらにはこれを集団学習とは相いれない対立するものとしてとらえるのは極めて偏屈な見方である。

子供たちの個性は、むしろ集団の中でこそよりよく発揮され、磨かれていくものである。さまざまの個性を持った子供が一緒に活動するからこそ、本人にも自分自身の個性がよりよく自覚され、自己実現の場も与えられることになる。もともとを個性は、本人のためというよりも、集団のために必要とされるものであり、集団がそれを求め、集団の中で様々の個性が形成されていくのである。したがって、どのような集団をつくり、どのような集団学習を行うかが、学習の個性化の観点からいっても重要となる。

個性重視の教育の基本原則

個性重視の教育の狙いや形態は多様であり得るが、子供一人一人の個性を大切にしようとする教育が全体として守るべき基本原則となるものを次にあげて見ることにしよう。

 

子供たちの個性を習得の速さやテストの成績だけでみるのは一面的である。個性をとらえる上でより重要なのは、このような点数でしめされる量的なさよりも、一人一人の質的な相違である。しかし、個性を重視するということは、その質的差をさらに強調することでは必ずしもない。成長中の個性には、隠された潜在的能力もさらにあるはずである。変化の激しいこれからの社会では、子供の能力の多面的な発達を図ることこそが重要である。

 

授業の基本的狙いを、子供に何かをわからせることだけに置くのではなく、本当は何かを追求し続ける子供を育てること、つまり問うことの指導を何よりも大切にすることに置き、いつの教師な問い、子供が答えるという授業形態から、子供自らが問、その問いを個人あるいは集団で追及する創造的で自由な人気の教室と授業づくりを目指すこと。

そのためには、子供たちがお互いの個性を認め合い、助け合う学習集団づくりが大切である。友達の間違いや失敗を馬鹿にして、大声で笑ったりひやかしたりする教室、そのために自由にのびのびと発言することができないような教室では、問い続ける子供は育たない。友達と助け合い、議論し合い、時には競い合う集団学習によって個性を鍛えられ、磨かれる。そのような学習効果を、学校の授業では十分に活用することが必要である。そのためには、子供たちの生活集団である学級と学習集団とを分けることは、小学校では原則として避けるべきである。

学習題材を子供たちにとって現実性のあるものとし、子供たちが自ら問いをもち、追求したくなるような意外性や興味のある題材や教材の構成に教師が務める必要がある子供たちが、できる限り頭だけでなく、手足を使い、体の感覚器官を総動員して学習に立ち向かうような題材を選ぶようにすることがとの教科でも必要である。

個性重視の教育が目指すもの

  • 子供の自立、個の確立をめざす教育
  • どの子供も落ちこぼさず、見捨てないことをめざす教育
  • 子供も一人一人の個性を生かすことをめざす教育
  • 子供の様々な個性を伸ばすことをめざす教育