環境が子供を育てる 基礎基本をどうとらえるか

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基礎基本をどうとらえるか

教育内容を基礎的、基本的内容は学習指導要領改訂のたびにこれまでも繰り返し言われてきた。しかし、その基礎を基本とは何かが明確に規定され、説明されたことは一度もない。そのため、基礎的、基本的内容を厳選したはずの学習指導要領が発表され、それに準拠した検定教科書がつくられれば、その内容をすべてが機種を、基本であるととらざるを得ない。にもかかわらず、機種を、基本についての議論な教育現場に堪えないのは、現場人の健全な良識にもとづくものといえよう。というのも、教える内容をまことに基礎的、基本的なものに絞り込むということは、教師にとって日々の切実な実践的課題であり、授業で子供たちを学習の内容に集中させるためには不可欠の作業であるからだ。

 


教育内容の基礎、基本は何かを明確にし、教える内容をぎりぎりに厳選するということは、教材を少なくするということでは必ずしもない。むしろ、厳選された内容について、子供の認識の筋道に沿い、地域や学校の実態に即して豊かな教材や道具が選択されてこそ、その内容が子供たちにしっかりと習得されることになる。教育内容の厳選と教材の厳選とは、次元の異なる作業ととらえなくてはならない。

子供に内容がしっかり理解され、習得されるような授業が成立するための本質的なかつ実践的な問いかけとして、教師は常に何がその授業ないし教科の基礎、基本であるかを問い、追求することが必要である。したがって、このような研究をは、わが国でも特に1960年代以降、各種の教育研究団体に所属する教師や研究者による実践的研究の豊かな蓄積がある。しかし、それらの研究が学習指導要領の改訂に直接につながるということはあまりなく、両者が平行線をたどっていることが多いのは誠に残念である。

 

学習指導要領の改訂に際して行われる基礎的、基本的内容やの厳正は、従来の内容がもりだくさんにすぎたり、高度になりがちで、授業についていけない生徒がいるからといった理由で、内容の再配分や削除を行うという消極的な意味にとどまっていることが多い。

教育内容の厳選には、もう一つのこれとは全く違うやり方による積極的な意味の厳選がある。すなわち、従来の内容を単に間引きするような厳選ではなく、内容の系統性とか構造を見直して、教育内容を質的に改造するような厳選である。理論的水準のうえではより高度な内容にしながら、従来あったあまり重要でない内容を取り去るようにすれば、生徒の負担はかえって軽減するということもあり得るのである。

60年代にアメリカをはじめ多くの諸外国でも行われた教育内容現代化の改革は、そのような教科構造の再編を目指した積極的厳選の試みであった。わが国では、数学教育におけるよう指導の体系化とか水道方式による算数指導の革新、分子論、原子論の立場に立つ理科教育の改造、日本の教育の新しい体系、人間の歴史系統案の開発などが行われた。このような教科内容厳選の基本原則と考えられるものをあげてみれば、次の項目のようになろう。

機種を、基本の確実な定着はかるには

基礎的、基本的内容については繰り返し学習することによって確実な定着を図るようにするということが、教課審答申には繰り返し述べられている。反復練習のは、確かに文字の読み書き、算数の九九や計算、あるいは運動機能ものように半ば無意識的、自動的に遂行される基礎的技能の習得には必要であり有効であるか、より高度な次元の基本的知識の習得には別の方法が必要である。繰り返し学習の場合も、内容によってくりかえし方は異ならねばならない。文字の書写技術のようなものは、目だけでなく手、指にも書き方を覚えさせなくてはならず、集中的な比喩的短期間の機械的な反復練習によって身につけるほかはないし、その方が合理的であろう。だが、表意文字である漢字の場合は、学習の仕方にも別の工夫が可能であり必要である。漢字には意味があり、へんとつくりなどの構造がある。音訓の読み方指導も必要であり、さらに漢字でつくる熟語は語学指導の対象としてさまざまの分類も可能である。漢字学習には、これらの要素を考慮した合理的、系統的な指導が必要である。

教課審答申には国語の改善の基本方針として自分の考えを持ち、倫理的に意見を述べる能力、目的や場面などに応じて適切に表現する能力、目的に応じて的確に読みとる能力や読書に親しむ態度を育てることを重視するとのべられている。ここで重視されている原理的に意見を述べる能力とか読書に親しむ態度といったものはすぐに出来上がるものではない。何年もかけて繰り返し学習する中で身についていくものである。

国語に限らず、各教科の基礎を、基本の学習が習得をはかるうえで教師がが守るべき主導の原則となるものをまとめて次にあげてみよう。基礎を基本の学習をただしたい的なくりかえし反復にゆだねることは避け、子供たち知的好奇心を喚起し、できる限り倫理的な理解を可能にするような方法や教材道具の活用を図ること。

  1. 学習の必要性や意義が子供たちにも自覚され、子供たちが自ら進んで学習に取り組むよう動機づけること。
  2. 明確で意外性のある通り、本質的で、子供が背伸びすればとどくような問題の作成に努めること。
  3. 基礎的、基本的なことは誰にも分るものであり、またできるようにしなければならないものであるから、学級の皆が助け合い、協力し合って学んでいくような学習集団作りに努めること。
  4. 繰り返し学習の中でもゲームとか斑競争を取り入れるなど、学習を楽しくする方法を利用することが可能であり、必要でもあること。
  5. 短期集中的に反復練習するものと、長期的な見通しのもとで繰り返し学習するものとを区別し、反復練習には時間配分に注意したり、結果を正確にフィードバックしたりして、学習の効果とか進歩が子供にもよく実感できるようにすること。

教科内容を精選の基本原則

教科内容の基礎を、基本上の厳選は、従来の内容を間引きしたり、再配分するだけの略式厳選ではなく、新しい内容を選択したり開発したりすることを含むような教科構造の質的改善を目指すべきである。

 

教科内容の精選は、科学の基本概念や原理の学習を重視した 1960年代の教科の現代化やそのあとの楽しい授業の研究成果に学び、それを発展させるものでなければならない。

 

教科内容の帰途、基本への厳選は、まさに教科内容の体系を改造することであって、教材や教育方法の改善とは区別する必要がある。